先日、
作家でもある知人に
小さな展覧会に連れて行ってもらった。
見に行った作品達は、
絵画ではないが、
二次元の表現であるという意味で絵画と同じ。
(後でわかることだが、この認識がよろしくなかった。)
そして、そういう表現技法があることは誰もが知っている。
そんな作品達。
ただ、話を聞いてみると、
私が持っていた『それ』に対する勝手なイメージは、
その中の技法のひとつでしかないらしく、
他にもたくさんの技法があるとか…。
簡単にいうと、
いろんな技法があって、
技法を重なることで、
いろんな表現ができる…ということか?
少々気になってネットで調べてみると、
確かにいろんな技法があるようだし、
記事によっては動画付きで、
細かく、非常にわかり易く説明してある。
ただ、
わかり易い説明を見たからこそ、
実体験が伴わないままに理解だけが先走り、
私の中ではまだ机上の空論にすらなっていない技法の話が、
把握できるはずもなく、
かえって遠退いたような気さえした。
たぶん、既にこの時点で、
自分では気が付かないうちに、
頭の中が混乱を始めていたんだと思う。
そんな状態で展覧会に臨む。
展覧会の場で、
いろんな作品目の前にして、
いろいろ説明を受ける。
当然よく理解できるんです。
そりゃあ、そうだよね。
すべてを把握した人が説明してくれるんだから。
タッチは、明らかにいろいろあるし、
当然、それによって作品の印象も当然違う。
でも、技法を使い分けることでタッチを変えるといわれて、
そのこと自体は理解できてても、
その先が繋がらないんです。
『いろんな技法』が把握できてないから。
だからね、
いろんなタッチ、いろんな表現を見れば見るほど、
聞きかじったいろんな技法がチラつき、
チラついてはいるけど、
知識が乏しくてその先に進めないから、
気が付かないうちに頭の中が整理できなくなっていたんだと思います。
で、あとでその辺のところをもう一度考えてみたら、
私はどうもね、
二次元で表現されたものをすべて、
「絵」と一緒くたにして見ているところがあるようで、
「絵」なら……、
そういうと、
専門の方でそんなことないよ…という方がいるかもしれないから言い換えると、
例えば、私の専門でもある「図面」なら、
自分が持ってる鉛筆(実際には鉛筆じゃないけどね)の先のテクニックだけで簡単にタッチは変わるんですよ。
手描きの時の話ね。
私ね、「手描き」に強いこだわりを持った事務所に長く居て、
最後の方の数年を除いては、
平行定規とホルダーで図面とかパースを描いてたので、
その辺は鍛えられたみたいです。
で、手の込んだことをするならいろんな方法はあるけど、
「図面」というのは、
「図面」そのものでお金が稼げるものではなくて、
単なる伝達の手段ですから、
必要以上に時間をかけてちゃダメなの。
いろいろ考えながら描くから時間はかかるんですよ。
でも、考えることには時間をかけて、作図に余計な時間をかけちゃダメなんです。
そうよく言われたなぁ、若いころ。
他にはね、
「描きながら芯の先で考えなさい!」
僕らは、シャーペンでは力を入れるとすぐに芯が折れちゃうから、
ホルダーっていう鉛筆とシャープペンシルの相の子みたいなので描いてたんだけど、
その芯の先で描きながら考えなさいってことね。
力を入れて描くのは、
昔は、図面って、いろんな人に青焼きして渡すから、
焼くたびに擦れて、線がだんだんぼやけてくるの、力のない線は特にね。
だから力を入れて描く。
力のこもった線は、表面に乗った鉛筆の線は擦れて落ちるけど、
芯の中心で描いた強い線は、簡単には擦れて落ちることがです。
なかなか、わかってもらえないだろうけどね。
そんな理由で、力を入れて描くんだけど、相手はトレぺ。
力の入れ方が悪いとすぐに破れちゃうし、
天気…というか、たぶん、湿度によっても変わるんです。
それとか、
「あまり削るな!」っていうのも言われた。
ホルダーの芯をね、あまり削るなって言われるの。
削ってる時間が無駄だし、削れば削るだけ芯が減るでしょ。
もったいないしって。
まぁ、もったいないっていうのは方便で、
芯の先が丸くなっても、ある程度の細い線は描けるから、
そんなテクニックも身に付けなさいってことね。
やっぱり、芯がとがってる方がトレぺが破れる確率も上がるしね。
でも、実際、ちょっと先がつぶれたからといって、すぐに削ってると、
芯を削って捨ててるようなもんだから、もったいないですよね。
…と今では思います。
若いときはわからなかったことでも、
歳を経るとなんとなくニュアンスはわかってくるものでして…。
でも、そんな事務所でも時代には逆らえず、
ある施主に、
いつまで手描きなの?って言われてから
徐々にCAD化したので、
後半はCADとなったこともあり、
↑ の言葉は……たぶん、私は若い子には言ってません。
いや、少しぐらい言ったかな。
そのまま手描きが続いてたら、
言われて鬱陶しいと思っていたことを
同じこと言ってただろうね。
あれ、知らない間にかなり脱線してますね。
話を戻そうかと思いましたが、
長くなってきたので
明日へ続く。
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